賃貸物件を探していると、「和室付き」の物件を見かけることがありますよね。でも、「和室って使いづらいかも…」と思って敬遠してしまう人も多いと思います。
フローリング中心の暮らしに慣れていると、和室をどう活用すればいいかわからないという方も多いでしょう。
ですが、和室には和室ならではの魅力もありますし、ちょっとした工夫で「使いにくさ」をカバーしつつ、おしゃれで心地よい空間に変えることは十分可能です。
このコラムでは、和室の特徴・メリット・デメリットを整理しつつ、用途別アイデア、インテリアアレンジ、メンテナンス方法、Q&Aなどを含めて、実践的に使えるヒントをたっぷりお届けします。
目次
和室がある賃貸、まずは“特徴”を知ろう
和室の魅力と注意点を押さえる
まずは、和室が持つ良さと、使ううえで意識したい課題を整理しておきましょう。知っておくと、アレンジや使いこなしのヒントになります。
和室の主な魅力
和室のメリットとして、次のような点が挙げられます:
- 調湿・断熱効果:畳は湿気をある程度吸ったり放ったりする性質があり、湿度コントロールに寄与することがあります。
- 足音・防音性の緩和:畳はクッション性があり、足音や物音を若干抑える性質があります。
- 収納力の確保:和室には押入れが設置されていることが多く、収納量が意外と確保できる場合があります。
- コスト面の可能性:同じ広さ・立地であれば、和室付き物件のほうが家賃が抑えられる傾向があることも。
- 柔らかさ・くつろぎ感:畳の感触、自分で座ったり寝転んだりできる空間としての心地よさ。
ただし、これらは“適切に使われている”ことが前提です。使い方を誤ると、和室のデメリットが目立ってしまうこともあります。
和室を使うときに気をつけたいこと(デメリット・注意点)
和室をそのまま使うとき、見落としがちな注意点もあります。主なものを以下に示します。
- 畳の傷み・へこみ:重い家具を置いたり、脚の細いものを直接置くと畳が変形することがあります。
- 湿気・カビ・ダニ:畳は湿気を含みやすいため、適度な換気や除湿が必要です。
- 掃除の手間:フローリングと比べて、畳は細かいほこりやゴミが入り込みやすく、ブラシや掃除機のかけ方に注意が要ります。
- 原状回復時のコスト:畳表替え・裏返し、ふすま交換など、経年使用によって劣化が目立つと、退去時に費用がかかることがあります。
- 築年数・物件の古さ:和室付き物件は築年数が古めのものが多い傾向があり、水回り・設備の老朽化リスクを確認した方がよいです。
用途別アイデア:使いにくい和室を“使える空間”に変える
和室は「寝室」「子ども部屋」「くつろぎ空間」など、用途を変えることでその魅力が活きてきます。以下に、いくつかの用途別アイデアをまとめます。
寝室として使う
和室を寝室にする利点は、布団を使えば日中は収納できてスペースが広く使える点です。
ただ、畳の上に重いベッドを置くとへこみが出ることもあるので、工夫が必要です。
ポイント:
- すのこマットや畳保護マットを敷く
- 脚付きベッドを使う際は脚部にフェルトや厚めの下敷きをつける
- 布団を使う場合は、日中に立てかけて風を当てる
- 湿気対策として、布団を干す・除湿を活用する
リビング・くつろぎ空間として使う
和室をリビング代わりに使うと、“和洋折衷”の心地よい空間になります。ローソファ・ローテーブルを置けば、和モダンな雰囲気を演出できます。
レイアウト例:
- 畳の一部にラグを敷いてゾーニング
- ローソファや座椅子を使って目線を下げる
- 間接照明を使って落ち着いた光の演出をする
また、和室と洋室が隣接している間取りなら、襖(ふすま)を開けてLDKと一体化させることで空間の広がりを感じさせる使い方もあります。
子ども部屋・プレイルームとして使う
畳はクッション性があるため、転んでも衝撃が比較的やわらかく、子どもの遊び場として向いています。
工夫アイデア:
- カラフルなジョイントマットと組み合わせる
- 押入れをおもちゃ収納兼隠れスペースに利用
- カーテンやネットでセパレートして遊び場を区切る
- 子ども用家具の脚にはラバーキャップをつける
おしゃれに見せるインテリア・アレンジ術
用途が決まったら、次は見た目を整えて「和室らしさと今どき感」のバランスを取るアレンジをしてみましょう。
洋風混合スタイル(和+洋ミックス)
和室に洋風要素をミックスするスタイルは人気があります。例えば、畳の上にラグを敷いたり、ダーク調の家具を取り入れるなど。
ポイント:
- 畳のトーン・畳縁と色味を合わせてコーディネート
- 家具の素材を木・ラタン・竹などの天然素材にする
- 背の低い家具で統一して視線を下げ、圧迫感を抑える
テイスト別アレンジ例
以下は、テイスト別に和室をアレンジするアイデアです。
| テイスト | キーカラー・素材 | おすすめアイテム |
|---|---|---|
| ナチュラル | ベージュ・生成り・木材 | ラタンバスケット、無垢風家具 |
| 北欧風 | ホワイト・ライトグレー・パステル | 脚の低いソファ、小花柄クッション |
| モダン・シンプル | ブラック・グレー・モノトーン | メタルフレーム家具、クリアなテーブル |
| ミニマル和モダン | アイボリー・黒・若草色 | 和紙ランプ、竹素材アクセント |
(この表は上記で使えるインテリア例を整理したものとして有用)
また、ふすまや障子には貼って剥がせるリメイクシートを使ってアクセントを加えたり、和紙風シートを貼って柔らかい光を演出したりする方法もおすすめです。
押入れリメイクのアイデア
和室の大きな特徴である押入れは、単なる収納だけでなく“見せる収納”や“ワークスペース”にもできます。
- 襖を取り外してオープン収納にする
- 中段を外してハンガーパイプを設置
- カフェ風に、押入れをミニ書斎にする
- カーテン+つっぱり棒で室内クローゼット風に
押入れをリメイクすることで、和室空間の印象がぐっと変わります。
メンテナンスと暮らしのコツ:長持ちさせるために
和室を快適に使い続けるには、日々の手入れが大切です。以下に、和室暮らしをサポートするコツをまとめます。
湿気・カビ・通気性対策
- 定期的に窓を開けて風を通す
- 除湿機やエアコンのドライ機能を活用
- 押入れや収納の扉を開けて換気
- 畳マットや敷物は時々位置を変えて通気を確保
畳・床の掃除法
- 掃除機は畳の目に沿ってゆっくりかける
- 拭き掃除をする際は、固く絞ったタオルで軽拭き
- 汚れには重曹+水拭きを下地にして拭く
- 畳のへり部分や角の汚れは歯ブラシなどで丁寧に
家具の置き方と保護
- 家具の脚にはフェルトやキャップをつける
- 重い家具はなるべく壁際など負荷分散する場所に配置
- 長期間置きっぱなしにせず、家具の位置をたまに変える
Q&A:和室を使うときの「よくある疑問」
Q. 和室にベッドを置くと畳が傷みますか?
A. はい、可能性はあります。ただし、以下のような工夫をすればリスクを抑えられます。
- 脚付きベッドの場合、脚部にフェルトや厚め敷物を敷く
- 重心を分散させるよう脚数を増やす
- ベッドの下にすのこマットを敷いて空気を通す
- 長期間同じ場所に置きっ放しにせず、時々位置をずらす
こうした対策をすることで、畳へのダメージを最小限に抑えながら、ベッドを配置できます。
使い方比較表:用途ごとのポイントまとめ
ここで、和室を「寝室」「リビング/くつろぎ部屋」「子ども部屋」の3つの用途で比較した表をお示しします。
| 用途 | 長所・魅力 | 気をつけたい点 | 対策案 |
|---|---|---|---|
| 寝室 | 布団なら収納可能/畳の通気性を活かせる | 湿気・カビ・畳のへこみ | すのこ・除湿機・位置替え |
| リビング/くつろぎ | 和+洋ミックスが映える/座る体験が快適 | 家具の重み・位置のマンネリ化 | ロー家具・フェルト保護・配置変更 |
| 子ども部屋 | 転んでも衝撃がやわらかい/広さ調整しやすい | 汚れ・傷・湿気 | カラーマット併用・掃除こまめに・収納工夫 |
こうして比較すると、用途に応じて「何を優先するか(見た目・耐久性・快適性)」を意識して選べるようになります。
和室を「映える空間」にする最終仕上げのテクニック
最後に、和室をただ使うだけでなく「写真を撮りたくなる」「友人を呼びたくなる」空間にするためのひと工夫を紹介します。
- 間接照明(フロアランプ・スタンドライト)を取り入れて、陰影を作る
- 観葉植物を配置して、緑のアクセントを入れる
- 壁にアート・タペストリーを飾る(和紙・布素材が相性良し)
- 畳縁やふすまのポイントカラーとの調和を意識する
- ラグやクッションで色味・テクスチャーに変化をつける
これらの工夫を積み重ねることで、和室は“ただの和室”から“魅力ある空間”へと変化します。
和室は「古い」じゃなく「味わい深い空間」にできる
賃貸住宅の和室は、確かに使いこなしには工夫が必要ですが、その魅力を活かすことで、むしろ他にはない安らぎや個性ある空間になります。
ポイントは以下です:
- 和室の良さ・課題を理解する
- 用途(寝室・くつろぎ・子ども部屋など)を決めて最適化
- インテリアのテイストを統一しつつ、和洋ミックスを楽しむ
- 日々のメンテナンスを怠らない
- ちょっとしたデザイン工夫で「映える空間」にする