賃貸で二人暮らしを始めると、気になるのが「光熱費」。
特にプロパンガス(LPガス)物件だと、「都市ガスより高いって聞くけど、実際どれくらい?」という疑問を持つ方が多いのではないでしょうか。
プロパンガスは地域差や業者によって料金が変わる「自由料金制」のため、同じ使い方でも毎月の金額に差が出やすいのが特徴です。
でも、正しい知識とちょっとした工夫で、家計をしっかりコントロールすることができます。
今回は、二人暮らしのプロパンガス代の平均額・季節変動・賃貸での注意点・節約術を、わかりやすく丁寧に解説していきます。
目次
二人暮らしのプロパンガス代の平均はいくら?
全国平均と実際の目安
二人暮らしのガス代は、月あたり7,000〜10,000円前後が平均といわれています。
ただしこの金額は「プロパンガス(LPガス)」を利用した場合であり、都市ガスの平均(約4,000〜6,000円)よりも約1.5〜2倍ほど高いのが現実です。
ガス代は「使用量」「地域」「季節」「契約業者」によって大きく変わるため、あくまで“目安”として見ておくことが大切です。
例えば、次のような生活スタイル別でも金額は変わります。
- シャワー中心・自炊少なめ → 約6,000円
- 自炊多め・お風呂は簡単に → 約8,000円
- 湯船にしっかり浸かる・冬場長風呂派 → 約10,000円以上
これらを踏まえて、まずは都市ガスとの違いを見てみましょう。
都市ガスとの料金比較
プロパンガスは「ボンベ配送・自由料金制」、都市ガスは「公共料金制・配管供給」なので、構造的に料金差が出やすい仕組みです。
▼表① ガス代比較:プロパン vs 都市ガス
| 区分 | 使用量 | 平均月額(税込) | 参考出典 |
|---|---|---|---|
| 都市ガス(全国平均) | 30m³ | 約 5,000円/月 | 経済産業省「ガス事業便覧 令和5年度」 |
| プロパンガス(全国平均) | 20m³ | 約 15,899円/月 | 石油情報センター「家庭用LPガス価格調査」 |
なぜプロパンガスは都市ガスより高いの?
理由は主に次の3つです。
- 自由料金制
都市ガスのように「国の規制価格」がなく、各業者が自由に価格設定をできるため、業者間のばらつきが大きい。 - 配送コスト
ボンベ配送や保安点検にかかる人件費・車両費が上乗せされる。 - 設備費の上乗せ
賃貸物件によっては、給湯器やメーターの設置費をガス料金に含めているケースも。
こうした背景から、同じ使用量でも都市ガスより高く感じやすいのです。
季節でどれくらい変わる?夏と冬のプロパンガス代の違い
プロパンガスの使用量は、季節によって大きく変わります。特に冬はお湯を使う頻度が増えるため、年間で最もガス代が上がる時期です。
季節別の平均目安
▼表② 季節別ガス代目安:二人暮らし
| 季節 | 対象月 | 平均支出額(月あたり) | 年間比率 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 冬 | 12月〜2月 | 6,930円 | 約27% | 暖房・給湯需要が最大。全国でガス代ピーク。 |
| 春 | 3月〜5月 | 5,210円 | 約20% | 気温上昇に伴い使用減。料理・給湯中心に。 |
| 夏 | 6月〜8月 | 3,980円 | 約16% | 給湯中心。冷房は電気が主のためガス使用最小。 |
| 秋 | 9月〜11月 | 5,380円 | 約21% | 気温低下で再び増加傾向。暖房利用前の中間期。 |
| 年間平均 | ― | 5,375円/月(年間 約64,500円) | 100% | 総務省 家計調査(2023年平均)より推計。 |
URL:https://www.stat.go.jp/data/kakei/2.html
冬に高くなる理由と対策
寒い季節はお湯の使用量が倍近くになるほか、設定温度も高くなるため、どうしてもガス代が上がります。
特に「追い焚き機能」や「長風呂」「食器洗いをお湯で行う」などの要素が積み重なると、ガス使用量が急増します。
簡単にできる節約対策:
- 給湯温度を2℃下げる(年間で約3,000円節約)
- シャワーを1日5分短くする(年間約4,000円節約)
- 追い焚きの回数を半分にする(年間約5,000円節約)
「我慢する節約」ではなく、「効率よく使う工夫」で乗り切るのがポイントです。
賃貸で注意すべきポイント
Q1. 賃貸物件のプロパンガス、業者は自分で選べる?
A. 多くの賃貸物件では、大家さんまたは管理会社が契約しているため、入居者が自由にガス会社を選ぶことはできません。
ただし、自分名義で契約しているケース(戸建て賃貸やアパートの独立契約型)では、変更が可能な場合もあります。
Q2. ガス代が高すぎると感じたら、交渉できる?
A. はい、管理会社を通じて相談できます。
近隣相場より明らかに高い場合は、業者に見直しをお願いできるケースもあります。
最近では「エネピ」「ガス屋の窓口」など、無料で相場比較してくれるサイトを使うのもおすすめです。
Q3. 明細に単価が書かれていない…不透明って本当?
A. はい、業者によっては単価や基本料が明示されていない場合があります。
「基本料金」「従量単価」「使用量」がしっかり分かれて記載されているか、請求書を確認してみましょう。
不明な場合は、業者に直接問い合わせても大丈夫です。
プロパンガス料金の仕組みを理解しよう
基本料金と従量料金の違い
プロパンガスの料金は、大きく2つの構成から成り立っています。
- 基本料金:メーター・保守・配送費など、使用量に関わらず発生する固定費
- 従量料金:実際に使用したガス量に応じて課金される変動費
▼表③ プロパンガス料金の内訳例
| 項目 | 内容 | 平均単価(目安) |
|---|---|---|
| 基本料金 | ボンベ・保守・配送維持費 | 約1,800〜2,000円 |
| 従量料金 | 使用量に応じて変動 | 約300〜400円/㎥ |
| 合計目安 | 月10〜25㎥利用時 | 約7,000〜10,000円前後 |
高いと感じたら、まず確認したい3つのポイント
- 請求書に「単価・基本料・使用量」が明記されているか
- 近隣の同規模物件より単価が高くないか
- 使用量が急に増えていないか(メーター異常もまれにあり)
実際の声|二人暮らしで感じた“プロパンガスのリアル”
「冬場にガス代が1万円超えてびっくり。でもシャワーを短くしたら翌月8,000円に下がりました。」
(30代女性・賃貸アパート)
「料理をIHに変えて、お湯の使用を減らしたら光熱費が全体で月1,500円安くなった。」
(20代カップル・都市近郊)
「管理会社に相談したら、ガス会社が単価を下げてくれた。ダメもとでも言ってよかった。」
(40代男性・同棲中)
リアルな声からも分かるように、「プロパンガス=高い」ではなく、“使い方次第で変わる”ことがポイントなんです。
プロパンガスのよくある疑問
Q1. プロパンから都市ガスに切り替えできる?
A. 賃貸では難しいです。都市ガスは建物にガス管が引かれている必要があり、設備工事が必要になります。持ち家であれば工事可能ですが、賃貸ではほぼ不可能です。
Q2. エコジョーズなど省エネ給湯器は効果ある?
A. はい。熱効率が高く、10〜15%の削減が見込めます。
ただし賃貸ではオーナー判断になるため、自分で設置するのは難しい場合があります。
Q3. 光熱費をまとめるとお得になる?
A. 電気+ガスのセット契約(例:東京ガス・中部電力など)で、ポイント還元や割引を受けられるケースがあります。
契約可能なら検討の価値ありです。
プロパンガス代を節約する“裏ワザ”集
- 給湯温度を2℃下げる
- シャワー時間を5分短くする
- お風呂は家族が続けて入る
- 追い焚きを減らして保温シートを使う
- 食器はお湯ではなく水で下洗い
これだけでも月に1,000〜2,000円の節約になります。
「ガマンではなく、使い方の見直し」でムリなく節約できるのがコツです。
プロパンガスも“使い方”次第で家計の味方に
プロパンガスは、確かに都市ガスより単価が高い傾向にあります。
でも、
✅ 契約内容を理解して
✅ 無駄な使い方を減らし
✅ 交渉や比較を怠らなければ、
家計への負担を大きく減らすことができます。
二人暮らしでは、シャワーの時間や給湯設定など、小さな意識の積み重ねが節約につながるものです。
「固定費は、努力より“工夫”で変えられる」
その第一歩として、まずはガスの明細を見て、自分の使用量を“見える化”してみましょう。
きっと、今日からできる節約ポイントが見えてくるはずです。