賃貸物件の上の階がうるさいときに考えられる原因
賃貸物件でよくある騒音トラブルの一つが「上階からの音」です。これは多くの場合、日常生活で発生する生活音が原因となります。特に建物の防音性能が十分でない場合、音が響きやすく、下の階に住む人にとっては大きなストレスにつながります。
騒音は大きく分けて「空気音」と「固体音」の2種類がありますが、上の階から伝わる音のほとんどは固体音(振動音)にあたります。
固体音とは、物体が床や壁を振動させて伝わる音のことで、空気中を伝わる声やテレビ音とは異なり、響きやすく軽減が難しい特徴があります。
上階から聞こえる代表的な音
上階の生活音として、以下のようなものが典型的な例です。
- 子どもが走り回る足音
- 大型家具を移動させる音
- ランニングマシンなど振動が強い器具の使用音
- 水回り設備の排水時の振動音
- 老朽化した配管や設備から発生する異音
これらは一見「仕方のない生活音」と思えるものも多いですが、積み重なると深刻な騒音トラブルに発展することも少なくありません。
騒音を解決するためには、まず音の種類や原因を正しく把握することが大切です。「子どもの生活音」なのか、「設備の老朽化」なのかで、対応の方法や責任の所在が変わってきます。誤った判断で相手に苦情を伝えると、人間関係が悪化する可能性もあるため、冷静に観察することが解決への第一歩です。
賃貸物件の上の階がうるさいときにできる行動とは?
上階からの騒音に悩まされると、つい感情的になってしまいがちです。ですが、冷静に状況を確認し、適切な手順を踏むことが解決への近道です。
まずは音の発生源や状況を正しく把握し、記録を残したうえで管理会社や大家さんに相談するようにしましょう。
騒音の発生源を確認する
「上の階がうるさい」と感じても、実際には斜め上や隣室、設備が原因のこともあります。
例えば、足音だと思っていた音が、洗濯機の振動や排水管の異音、エアコンの室外機から発生しているケースも少なくありません。
音の出どころを誤解したまま苦情を伝えると、無関係の入居者とトラブルになる危険があります。
どこから音が響いているのかを冷静に観察し、決めつけで行動しないように注意しましょう。
騒音の詳細を記録する
問題を正確に伝えるためには、具体的な記録が大切です。
たとえば以下のようにメモしておくと、管理会社へ相談する際に役立ちます。
- どのような音か(足音、子どもの声、大人数の話し声、洗濯機の音 など)
- 何時ごろに聞こえるのか
- どれくらいの時間続いたのか
こうした記録は、単なる「うるさい」という感覚的な訴えよりも、説得力のある証拠となります。
騒音を計測して数値化する
騒音は人によって感じ方が違うため、客観的なデータを示すことが有効です。
スマートフォンの騒音測定アプリや簡易騒音計を使えば、音の大きさを「デシベル(dB)」で記録できます。
目安として、
- 静かな住宅地(深夜):30dB
- 普通の会話:60dB前後
- 地下鉄車内:80dB
- カラオケ:100dB以上
一般的に、70dBを超えると「騒がしい」と感じる人が多いと言われます。
基準値(昼間55dB・夜間45dB程度)を超えていれば、生活に支障を及ぼす騒音として主張しやすくなります。
他の住人にも状況を確認する
もし騒音が自分だけでなく他の部屋にも響いているなら、複数の入居者からの声として相談できます。
管理会社にとっても「一人の苦情」より「複数人の意見」の方が対応が必要だと判断しやすくなります。
ただし、音の感じ方は人によって差があるため、必ずしも同じように「うるさい」と感じているとは限りません。その点は注意しましょう。
管理会社や大家さんに相談する
証拠を集めたら、直接相手に苦情を言うのではなく、必ず管理会社や大家さんを通じて相談しましょう。
第三者が間に入ることで、トラブルが感情的にこじれるリスクを避けられます。
管理会社は、入居者全体に対して注意喚起の掲示を行ったり、特定の入居者に対して個別に注意するなど、適切な対応を取ってくれます。
住人が自覚していない場合でも、管理会社を通して伝えれば穏便に改善される可能性があります。
上の階の騒音に悩んだときに絶対避けるべき行動
上の階からの生活音にストレスを感じると、つい感情的な行動を取りたくなります。
しかし、衝動的な対応はトラブルを悪化させ、解決どころか新たな問題を生むことも少なくありません。
特に次の行動は避けるようにしましょう。
天井をたたく行為
イライラして天井を棒や手でたたき、相手に「うるさい」と知らせようとする人もいますが、これは逆効果になりがちです。
その理由は以下のとおりです。
- 上の階に音が伝わらないことが多い
- 隣や下の住戸に騒音が広がり、関係のない住人から苦情が出る恐れがある
- 「仕返し」と受け取られ、かえって相手の騒音が悪化する可能性がある
一時的に気持ちはスッキリしても、根本的な解決にはなりません。
冷静に対応し、公式な手段(管理会社・大家さんへの相談)を選ぶことが重要です。
直接文句を言いに行くこと
騒音源と考えられる上階の住人に直接不満を伝えるのも、避けたほうがよい方法です。
相手に悪意がなかった場合でも、突然のクレームは強い反発を招きやすく、感情的な衝突につながります。
最悪の場合、以下のようなリスクが発生します。
- 相手が逆上して、意図的にさらに大きな音を出す
- 言い争いがエスカレートし、人間関係が悪化する
- 深刻なトラブルに発展し、事件にまでつながるケースもある
不満を直接伝えるのは危険が大きいため、必ず第三者(管理会社や大家さん)を通じて対応してもらうようにしましょう。
専門的な立場から注意や改善依頼を行ってくれるため、住人同士の対立を防ぎながら問題解決を図れます。
上階の足音や騒音に悩んだときの効果的な対処法
マンションやアパートに住んでいると「上の階の足音や物音が気になる」という悩みは少なくありません。すぐに改善できないことも多いため、まずは自分でできる工夫から試してみることが大切です。ここでは現実的に取り入れやすい方法を紹介します。
防音グッズ・アイテムで音を軽減する方法
上階の物音を抑えるには、市販されている防音アイテムを取り入れるのが有効です。例えば以下のようなグッズがあります。
- 防音シートや吸音材を天井に貼る → 音の反射を抑える効果あり
- 家具を壁から1cm程度離す → 共鳴を防ぎ、響きにくくする
- 吸音パネルや防音カーテン → 部分的に音を和らげる
- ノイズキャンセリングイヤホンやイヤーマフ → 手軽に外部音をカット
特にイヤホンや耳栓はすぐに取り入れられる方法で、勉強や睡眠時にも役立ちます。ただし、振動を伴う「ドンドンという足音」には効果が限定的です。そのため、グッズは「一時的にストレスを軽減する手段」として活用するのが現実的でしょう。
「なぜ自分が対策しなければならないのか」という思いがあるかもしれませんが、我慢し続けるよりも、自分でできる範囲で工夫したほうが精神的な負担を軽減できます。
騒音が改善されないときは引越しも視野に入れる
管理会社へ相談しても改善が見られない場合、最終手段として「引越し」を考えることも一つの解決策です。
引越しには費用や手間がかかりますが、長期的に見れば快適な生活を得られる可能性が高まります。物件選びの際には、次のポイントを意識するとよいでしょう。
- 鉄筋コンクリート造の建物 → 遮音性が高い
- 単身者向けの物件 → 子どもの足音などが少ない
- 最上階の部屋 → 上階からの騒音がなく安心
また、内見の際には「実際に上階や隣室からの音が聞こえないか」を確認し、不動産会社に「過去の騒音トラブルの有無」を尋ねるのも重要です。
快適な住まいを得ることは、ストレス軽減や健康維持にも直結します。我慢を続けるよりも、前向きに環境を変える選択をしたほうが、長い目で見れば大きなメリットになるでしょう。