賃貸物件で追い焚き機能は後付けできる?
賃貸のお風呂に追い焚き機能を後付けすることは、理論上は可能です。しかし実際には、工事の規模・費用・管理会社や大家さんの許可といった複数の条件が必要となり、現実的には難しいケースが多いのが実情です。追い焚き機能を追加するには、浴槽や給湯器に新たな配管工事が必要になり、壁に穴を開けるなどの施工が伴うこともあります。こうした工事は高額になりやすく、無断で行えば退去時に原状回復費用を請求されるリスクもあります。
そのため、追い焚き機能を本格的に後付けする場合は、必ず大家さんや管理会社に相談し、許可を得たうえで工事内容を確認することが必須です。費用対効果を考えると、最初から追い焚き機能が付いている物件を探す方が現実的といえるでしょう。
追い焚き機能付きのお風呂のメリット
賃貸物件を探す際、「追い焚き機能付きかどうか」を重視する人も少なくありません。追い焚き機能があるだけで、毎日の入浴がより快適で経済的になります。ここでは、追い焚き機能の代表的なメリットをご紹介します。
いつでも快適な温度で入浴できる
追い焚き機能があれば、一度お湯を張ったあとに時間が経って冷めてしまっても、ボタンひとつで温め直せます。
仕事で帰宅が遅くなった日や、朝風呂を楽しみたいときでも、わざわざお湯を入れ替える必要がありません。
また、家族で入浴時間がバラバラな場合も、同じお湯を快適な温度で使えるため効率的。常に温かい状態を保てることは、大きな魅力といえるでしょう。
水道代・ガス代を節約できる
新しいお湯を張り直す場合と比べ、追い焚き機能を使った方が水道代・ガス代を抑えられることが多いです。
- 水道代の節約:一度張ったお湯を再利用できるため、水の入れ替えが不要。
- ガス代の節約:冷めたお湯を再加熱する方が、ゼロから沸かすよりも効率的。
たとえば、浴槽200Lのお湯を毎日入れ替えると、年間で約17,000円以上の水道代がかかるケースもあります。追い焚き機能を利用すれば、このコストを大幅に抑えられるでしょう。
自動機能でお湯管理がラクになる
近年の追い焚き機能付きのお風呂には、便利な自動機能が備わっていることもあります。
- 保温機能:設定した温度でお湯をキープし、いつでも入浴可能。
- 自動足し湯機能:お湯が減ったら自動で補充し、一定量を保つ。
- フルオート機能:お湯張りから保温、足し湯まで全自動でコントロール。
これらの機能により、毎回お湯の温度や量を調整する手間がなくなり、入浴がぐっと快適になります。
追い焚き機能付きのお風呂のデメリット
追い焚き機能は便利で快適な設備ですが、その一方で注意しておきたいデメリットも存在します。物件探しの際は、メリットだけでなくデメリットも理解したうえで検討することが大切です。
物件数が限られており家賃が高め
追い焚き機能が備わっている賃貸物件は、築浅や新築などグレードの高い物件に多く見られます。そのため、家賃が相場よりも高く設定されているケースが一般的です。
特に人気エリアでは「追い焚き機能付き=家賃が割高」という状況になりやすく、希望条件と予算の両立が難しくなる可能性があります。便利な設備だからこそ、本当に自分に必要かどうかを見極めることが重要です。
配管内部の定期清掃が欠かせない
追い焚き機能は浴槽のお湯を循環させて再加熱する仕組みのため、皮脂・湯あか・雑菌が配管内部に残りやすい特徴があります。湿度や温度が高い環境は雑菌繁殖に適しているため、放置すると嫌なニオイや衛生面のリスクにつながります。
そのため、追い焚き専用の洗浄剤を使った定期的な掃除が必要です。特に家族で同じ湯を繰り返し使う場合は、清掃頻度を増やすことで清潔さを維持できます。
好きな入浴剤を使えない場合がある
入浴剤を楽しみたい方にとっては、追い焚き機能が制約になることもあります。入浴剤の成分によっては、配管や風呂釜にダメージを与え、サビや腐食の原因になることがあるためです。
「配管に影響がありません」と記載された商品でも、長期間の使用でフィルターが詰まることがあります。そのため、使用前には必ず注意事項を確認し、使用後はこまめに掃除する習慣をつけておくと安心です。
賃貸物件で追い焚き機能を後付けする費用・工事内容
賃貸でも追い焚き機能を後付けできる場合がありますが、実際には高額な費用や大規模工事が必要になるケースが多く、管理会社や大家さんの承諾が必須です。ここでは、後付けする際の費用相場と工事内容について解説します。
追い焚き機能を後付けする際の費用
追い焚き機能を後から設置する場合の費用は、おおよそ20万~60万円が目安です。金額には以下のような工事費用が含まれます。
- 浴槽への穴開け加工
- 浴槽と給湯器をつなぐための配管工事
- 必要に応じた給湯器の交換
物件の構造や既存設備の状態によっては、相場以上の費用がかかることもあります。そのため、複数の施工業者に見積もりを依頼し、工事内容や金額を比較することが重要です。特に地元の業者はコストを抑えやすい場合があるため、候補に入れて検討するとよいでしょう。
さらに、自治体によっては省エネ設備導入に対する補助金制度を利用できる場合もあります。申請条件や金額は地域ごとに異なるため、工事を検討する際には事前に確認することをおすすめします。
追い焚き機能を後付けする際の工事内容
後付け工事の流れは以下のとおりです。
- 事前確認と許可取得
大家さんや管理会社に工事内容を説明し、正式に承諾を得る。 - 浴槽への穴開け作業
浴槽に専用の穴を開け、追い焚き用の循環配管を設置する。 - 配管工事
浴槽と給湯器をつなぐ配管を設置し、温度調整ができるようにする。 - 給湯器の交換(必要に応じて)
既存の給湯器が追い焚き対応でない場合、新しい機種に交換する。 - 動作確認
設置後にお湯の循環や加熱機能が正しく作動するかテストを実施。 - 清掃・引き渡し
工事箇所を清掃し、利用者に引き渡して完了。
工事時間は半日から1日程度が一般的ですが、浴槽や給湯器の状態によって変動する可能性があります。入居者の立ち会いを求められる場合も多いため、事前に確認しておくと安心です。
追い焚き機能を賃貸のお風呂に後付けする際の注意点
賃貸物件で追い焚き機能を後付けすることは可能ですが、工事や費用、契約面でいくつかの注意点があります。事前に理解しておくことで、不要なトラブルを避けられるでしょう。
工事には立ち会いが必要
追い焚き機能の後付けには、浴槽や給湯器を扱う本格的な工事が伴います。そのため、工事当日は必ず入居者の立ち会いが求められるのが一般的です。
また、工事日程の調整や業者とのやり取りも必要になるため、普段忙しい方にとっては時間的な負担になることもあります。工事時間は半日から1日程度ですが、立ち会いスケジュールを確保しておくことが大切です。
高額な工事費用がかかる
追い焚き機能を新たに設置する場合、20万〜60万円ほどの費用がかかるのが一般的な相場です。物件の構造や既存設備の状態によっては、さらに費用が膨らむ可能性もあります。
特に賃貸住宅では、工事内容が制限されることも多いため、好きなように工事できない点もデメリットといえるでしょう。加えて、大家さんや管理会社の許可が必須であり、無断で施工すると退去時に原状回復費用を請求されるリスクもあります。
賃貸物件では追い焚き機能を後付けできないケースもある
賃貸住宅では、建物の構造や管理規約の制約によって追い焚き機能を後付けできないケースがあります。特に鉄筋コンクリート造の集合住宅では、配管を新たに通す工事が難しかったり、浴槽に穴を開ける施工が禁止されている場合も少なくありません。
さらに、管理会社や大家さんが工事を認めないケースも多く、仮に技術的に可能でも契約上できないことがあります。加えて、20万~60万円と高額な工事費が必要になるため、費用対効果の観点から現実的でないことも多いです。そのため、どうしても追い焚きを利用したい場合は、最初から追い焚き機能付きの賃貸物件を選ぶのが賢明といえるでしょう。
賃貸物件で追い焚き機能を後付けできない場合の対処法と代用アイテム
賃貸のお風呂に追い焚き機能を後付けするのが難しい場合でも、いくつかの代替アイテムを活用すれば、似たような快適さを実現できます。工事が不要で導入しやすく、コストも比較的抑えられるのが特徴です。
保温タイプの追い焚きアイテム
浴槽のお湯が冷めにくいように保温するタイプです。電子レンジで温めてから浴槽に入れるだけで数時間保温できる商品もあり、湯たんぽとしても使える汎用性の高さが魅力です。家族が続けて入浴する場合や、短時間での保温を目的とする方におすすめです。
加熱式の追い焚き機器
浴槽内の水やお湯を直接温め直すタイプで、30~45度程度まで温度調節できる機能が備わったものがあります。水深が一定以上あれば使用可能で、長時間の入浴や家族が多い家庭に向いています。安全装置付きの製品を選べば、安心して使用できます。
専用の保温シート
浴槽の上に広げるだけで熱を逃がさず、簡単にお湯の温度低下を防げる便利アイテムです。コストが安く導入しやすいため、一人暮らしやお風呂を長時間使わない家庭にも向いています。光熱費の節約にもつながる点がメリットです。
追い焚き代替グッズを選ぶ際のポイント
代替アイテムを選ぶときは、以下の点を意識すると失敗が少なくなります。
- 温めスピードを重視するなら:消費電力(ワット数)が大きいものを選ぶ
- 節約を意識するなら:省エネ機能付きの製品をチェック
- お湯を清潔に保ちたいなら:ろ過機能搭載モデルを選択
- 安全性を優先するなら:自動停止機能付きの商品を選ぶ